診療報酬債権の過剰貸付 運営会社ついに破産

(株)オプティファクター(品川区西五反田1-1-8、登記上:渋谷区東1-10-9、設立平成12年9月、資本金2000万円、児泉一社長)は11月6日、東京地裁に破産を申請し同日、弁済禁止処分および包括禁止命令を受けた。(株)メディカル・リレーションズ・リミテッド(新宿区西新宿6-6-3、設立平成17年7月、資本金9800万円、同社長、診療報酬債権等の売買)、(株)エム・アイ・ファシリティズ(品川区東五反田1-20-7、設立平成17年9月、資本金1億5000万円、同社長)は11月6日、東京地裁に破産を申請し同日、破産開始決定を受けた。また、メディカル・トレンド・リミテッド(英領バージン諸島、診療報酬債権等の売買)、オプティ・メディックス・リミテッド(英領バージン諸島、診療報酬債権等の売買)も11月6日、東京地裁に破産を申請し同日、保全管理を受けた。保全管理人および破産管財人には、澤野正明弁護士(シティユーワ法律事務所、千代田区丸の内2-2-2)が選任された。なお、問い合わせ窓口としてコールセンター(電話0120-363-355、受付時間は平日の午前9時から午後5時)が開設されている。
負債はオプティファクターが61億3200万円(平成26年8月期決算時点)、メディカル・リレーションズ・リミテッドが44億4700万円(平成27年4月期決算時点)、メディカル・トレンド・リミテッドが56億6700万円(平成27年3月期決算時点)、オプティ・メディックス・リミテッドは129億3100万円(平成26年12月期決算時点)、4社合計291億7700万円。なお、エム・アイ・ファシリティズの負債は現在調査中。

 オプティファクターは医療機関の診療報酬(レセプト)債権のファクタリングを行うほか、中堅証券会社と協業で診療報酬債権を証券化した「レセプト債」を取り扱い、一般個人投資家向けに販売していた。レセプト債は医療機関が受け取る診療報酬債権を証券化し、元利金の支払い原資とする商品で、安全性の高さが特徴とされていた。
しかし平成25年3月、児泉収前社長の死去後、決算書に実態のない架空の債権や売り上げが多額に計上されている疑いが浮上。また、関係会社の3ファンド(メディカル・リレーションズ・リミテッド、メディカル・トレンド・リミテッド、オプティ・メディックス・リミテッド)が有するべき現預金や医療報酬債権等のうち、実在性のあることが確認できた資産の合計額が僅少であることが判明。現代表は、ファンドの財務状態を改善するため、診療報酬債権等の取得に向けた積極的な営業、社債の利率や手数料の減額等による経費圧縮等、財務状態の健全化に努めたものの、負債の規模が過大であったため(27年10月時点の3ファンドの発行済債権残高は約227億円)、財務状態を改善することができない状況が続いていた。
そのようなか、オプティファクターが10月29日、証券取引等監視委員会の調査を受ける事態となり、これ以上社債の新規発行を行うことが困難となった。このため、償還期限を迎える社債の償還・利払いを継続的に履行できず、また、3ファンドの譲受債権の対象医療機関に対する安定的な資金供給ができなくなるため、グループの事業継続を断念し、今回の措置となった。