診療報酬マイナス改定へ/社会保障費1700億円抑制

政府は、医薬品の値段(薬価)や、医師、薬剤師らの技術料の価格(本体)を見直す2016年度の診療報酬改定で、全体の改定率をマイナスとする方向で調整に入った。

 16年度予算編成の焦点である社会保障費の抑制は、目標とする約1700億円の抑制分をほぼ診療報酬のマイナス改定でまかなう考えだ。

 診療報酬改定はほぼ2年に1度実施される。全体の改定率がマイナスになれば8年ぶりだ。厚生労働省による16年度予算の概算要求では、医療、年金、介護などの社会保障費は15年度予算より約6700億円増える。要因は、高齢化や、医療が高度化していることなど様々だ。政府は財政再建を着実に進めるため、高齢化で避けられないとされる年約5000億円増にとどめる方針だ。

 差額となる約1700億円の抑制は、〈1〉市場の実勢価格に応じて薬価を約1400億円引き下げ〈2〉本体を約300億円引き下げる――ことによって実現させる方針だ。改定の議論は今後本格化するが、最終的に1700億円に満たない場合、一部を高額療養費制度の見直しなど医療制度改革で賄うことも検討する。社会保障費の抑制は毎年度大きな課題だが、大半を医療関連だけで捻出するのは異例だ。

 本体の改定では、大病院前に立地する「門前薬局」など院外処方の薬局を対象に、薬剤師の技術料である調剤料を引き下げる方向で調整している。