大学病院が法人新設、推進法人に参加可能へ-文科省が大学設置基準改正案

文部科学省は、医学・歯学部附属病院の設置などを定めた大学設置基準を改正することを決めた。附属病院が国立大学法人から分離する形で非営利法人を新設し、地域医療連携推進法人に参加することを想定。新法人化による推進法人への参加を認める一方、引き続き附属病院として位置付けることで、大学が担う医学教育・研究に支障が出ないようにする。【新井哉】

推進法人制度は、地域の医療機関などの業務連携を促す目的で、昨年9月に成立した改正医療法に盛り込まれた。来年4月から制度がスタートするため、▽薬剤の共同購入▽患者の電子カルテの統一▽病院間での診療科目の分担や職員の相互交流-といった連携が一部の地域で検討されている。

ただ、大学の附属病院については、予算や職員の処遇の権限を大学法人の理事会などが握っているため、附属病院による迅速な意思決定ができず、参加する他の病院の職員との給与格差の改善や、推進法人の社員総会の運営などに支障を来たすといった懸念が出ていた。

また、現在の法令では附属病院による非営利法人(公益社団法人など)が設立された場合、形態によっては都道府県知事の認可となるため、医学・歯学に関する学部の教育研究に必要な施設とされている附属病院に対する文科省の監督・指導の権限が及ばなくなる恐れもあった。

こうした事情を考慮し、文科省は、大学が担う教育や研究、臨床機能を確保する観点から、推進法人に参加する新法人の附属病院について、引き続き大学の附属施設と位置付けられるようにする必要があると判断。大学設置基準の一部を改正する省令案をまとめた。今月30日までパブリックコメントを受け付け、来年4月2日に施行する予定。