AI 人工知能の活用

政府は20日、ケアプランを作成するプロセスでAI(人工知能)を活用するための検討を始める方針を明らかにした。自立支援の観点でより有効なサービスを増やすとともに、業務の効率化や負担の軽減にも結びつける狙い。必要なデータを集める仕組みの整備など課題は多いが、業界の常識や専門職の働き方を一変させるイノベーションに発展する可能性を含んでおり、関係者の注目を集めそうだ。
 
「医療・介護-生活者の暮らしを豊かに」会合
 
今後の成長戦略の司令塔として発足した「未来投資会議」。医療・介護について集中的に議論するための会合で、政府はAIの導入を論点に据える考えを初めて示した。出席した石原伸晃経済再生担当相は、「技術の進展で医療・介護が変革する可能性が見えてきている。新しいあり方を切り開いていくことが重要」と意欲をみせた。一部の民間企業でもすでに、ケアマネジメントとAIの組み合わせを模索する動きが出ていた。
 
政府は構想の具現化に向けて、「データの利活用基盤の構築」をポイントにあげている。個々の状態に合った最適なプランをAIに作らせるために、エビデンスとして使える精度の高い情報をいかにして収集するのか、といったハードルの解消に取り組む。記録のデジタル化・標準化を進める方策も俎上に載せる。医療の分野でもAIを役立てる意向を明示しており、同様のテーマを話し合う予定だ。来年の1月にも成果をまとめ、その後の政策に反映させていく。
 
介護の論点にはこのほか、センサーを用いた見守り機器や最新のロボットなどの普及を後押しする観点から、施設・事業所の運営基準や報酬を見直すこともあげられた。深刻な人手不足を考慮して思い切った改革に踏み切るよう求める声が出ており、2018年度の改定をめぐる論議にも影響を与えそうだ。