投薬ミスで後遺障害、名大に3878万円賠償命令…名古屋地裁

名古屋大学医学部付属病院(名古屋市)で肝硬変の治療中、誤った投薬によって後遺障害を負ったなどとして、名古屋市内の男性(85)とその家族が同大に計約1億185万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が1日、名古屋地裁であり、末吉幹和裁判長は同大側に計約3878万円の支払いを命じた。

  判決によると、男性は肝硬変の治療のため、2005年4月から同病院で抗ウイルス薬の投与を受けた。08年12月、この薬の副作用による骨疾患が強く疑われる検査結果が出たが、同病院の医師が誤診。11年12月まで同じ量の投薬が続けられたことによって重い骨軟化症を発症し、自力で歩くことが困難になるなどの後遺障害が残った。

 後遺障害と誤診との因果関係については同大側も認めており、訴訟では、障害の程度や賠償額が争点となった。男性側は、投薬によってほぼ寝たきりの状態になったと主張したが、判決は、男性が高齢であることや、別の病気も患っていたことなどから、請求の一部については、問題となった誤診による損害とはいえないと判断した。

 同病院は「判決内容を精査し、対応を検討する」とのコメントを出した。