Category Archives: 医療ニュース

甲状腺がん新たに6人 18歳以下検査

東京電力福島第一原発事故当時に18歳以下だった福島県内の約36万人に県が実施している甲状腺検査で、県立医大は20日、新たに6人が甲状腺がんと診断されたと発表した。これまでに公表した12人と合わせて、甲状腺がんが判明した子供は18人となった。

 同大の鈴木真一教授が福島市内で記者会見し、「腫瘍は成長の仕方から見て原発事故前からあったと考えられ、事故との関連性は低い」との見解を示した。既に18人全員が手術を受け、通常の生活を送っているという。

 甲状腺検査は2011年10月から始まり、今年7月までに21万6809人が受診した。超音波検査で一定の大きさのしこりが見つかった場合などに、より詳細な2次検査を行う。2次検査の対象者は0・6%の1280人。このうち44人が「悪性腫瘍」または「悪性腫瘍の疑い」とされ、18人ががんと診断された

男性看護師人材確保へ 交流で学生らにPR…三重

三重県内で男性看護師が増えている。しかし40、50歳代が少なく、将来像を描けず不安を抱える若い男性看護師も多いことから、横のつながりを強めようと三重男性看護師会が発足。後に続く男性看護師を増やそうと、高校生や看護学生へのPRを始めた。

 厚生労働省や県によると、県内の男性看護師は2008年506人、10年622人、12年755人と着実に増加。しかし、県内の看護師全体に占める割合は12年が5・4%と、全国平均6・2%を下回っている。

 同会代表の県立看護大(津市)の前田貴彦准教授(39)は、病院の垣根を越えて連携して男性看護師の存在を知ってもらい、キャリアについても話し合おうと、昨年11月に同会を結成した。

 今月22日には、男子高校生や男子看護学生を対象に同大でトークイベントを初めて開催。現役の男性看護師が学生らと交流した。

 イベントでは、5人の男性看護師が「病院実習では男性用の更衣室がなく廊下で着替えた」「高校が男子校で、看護学校に進学した卒業生がおらず、進路を相談する人がいなかった」などと、看護師になるまでの苦労を明かした。

 「力があるので患者の移送、体位変換で役立っている」「泌尿器科などでは、女性看護師に抵抗がある男性患者がいる」と男性看護師のメリットも紹介した。

 自身も小児科の看護師だった前田准教授は、「患者に男性も女性もいるように、看護師も男女が必要。どちらもいることでよりよいケアができる」と指摘。「臨床はもちろん、管理、教育などの分野もあり、多様な働き方ができる。交流しながら悩みを軽減し、もっと男性に看護師になってもらいたい」と話している。

手術ミスで患者死亡 和解…箕面市立病院

大阪府箕面市の同市立病院で昨年6月、肺がん手術中に男性患者(当時71歳)が死亡する医療事故があり、同病院は27日、遺族側に約3600万円の示談金を支払うことで和解が成立した、と発表した。9月4日開会の市議会に示談金支払いに関する議案を提出する。

 発表によると、昨年6月26日、男性の左肺の一部を切除する手術で、担当医が肺に空気を送るために気管支に針を刺した際、誤って針が気管支を貫通し、肺静脈に刺さった。しかし、ミスに気付かず、そのまま肺静脈に空気を送り、数秒後、男性は全身の血管内に空気が入り血流が止まる「空気塞栓症」を発症。約2時間後に死亡したという。

薬投与量ミス・転倒…医療事故、最多2882件

医療事故防止などに取り組む日本医療機能評価機構は28日、2012年1年間に報告された医療事故の件数が、全国926医療機関で計2882件に上ったと発表した。

 同機構が1年分の報告件数をまとめ始めた05年以来、最多という。主な事故内容は、薬の投与量の間違いや移動時の転倒などだった。

 患者に影響はなかったものの、医療事故につながりかねない「ヒヤリ・ハット事例」の報告は昨年、559医療機関から計69万109件寄せられ、同じく過去最多となった。

カルテ記載漏れで教授ら処分、リウマチ治療で死亡

学校法人産業医科大学(北九州市八幡西区)は29日、関節リウマチの治療中に悪性リンパ腫を発症するなどして患者10人が死亡する事例があったと発表した。

 医療行為としては問題なかったが、うち5人で患者へのインフォームド・コンセント(十分な説明と同意)として求められるカルテへの記載が不十分だったとして、診療責任者の医学部教授ら計8人を28日付で処分したことを明らかにした。教授は学内のセクシュアル・ハラスメント(性的嫌がらせ)とパワーハラスメント(職権による人権侵害)の問題と合わせ、9月11日から3か月の出勤停止処分とした。他の処分対象は、主治医4人と担当医3人で、いずれも口頭で厳重注意した。

 発表によると、患者10人が死亡したのは2009年6月~昨年9月。いずれも産業医科大学病院で抗リウマチ薬の標準治療薬である「メトトレキサート(MTX)」を使用した。専門医や弁護士ら5人による第三者委員会が5月10日付で同大に提出した調査報告では、「悪性リンパ腫発症の主たる原因は、免疫異常に起因するもので、MTXの影響は付随的なものに過ぎず、今回の使用は標準的治療の範囲内で、医療行為として不適切にはあたらない」とされた。

 ただ、同病院の医療安全対策マニュアルでは、MTXを増量する際、患者に説明して同意を得たかについてカルテに記載しなければならなかったが、患者5人(60代2人、70代3人)について記載していなかった。主治医らは同大の調査に対し、「カルテに書いていないだけで、本人には口頭で説明し、同意を得ている」と説明。担当の看護師や薬剤師も、同意を得ていることを文書に残していたという。

 また、教授は女性医師に対し、約10年前から酒席に誘って手を握ったり女性の誕生日に食事に誘ったりしたほか、過剰な労働を強制するなどした。教授はセクハラ・パワハラ行為は否定しているが、「本人に嫌な思いをさせたとすれば、不徳の致すところ」と話しているという。

病院の一日平均患者数、在院は2か月連続減-外来は増、厚労省調査4月分

一日平均在院患者数を病床別に見ると、一般病床は67万6188人(前年同月比6992人減)、精神病床は29万9401人(4352人減)、療養病床は29万6465人(3385人減)、結核病床は2256人(275人減)だった。

病院全体の平均在院日数は、前年同月比1.5日減の30.3日。病床ごとでは、一般病床が17.1日(0.8日減)、結核病床が65.5日(5.2日減)、療養病床が160.2日(8.6日減)、精神病床が277.7日(14.9日減)だった。

月末病床利用率は79.1%で、前年同月から0.6ポイント増加。病床ごとでは、療養病床が89.6%(0.8ポイント減)、精神病床が87.3%(0.9ポイント減)、結核病床が33.7%(0.4ポイント減)と減少した一方、一般病床は72.7%で、1.7ポイント増えた。【佐藤貴彦】厚生労働省がこのほど公表した4月分の病院報告(概数)によると、病院全体の一日平均在院患者数は、前月比1万7598人減の127万4355人で、2か月連続で減少した。前年同月と比べると、1万4998人の減。一方、外来患者数は141万2620人で、前月と比べ3万1632人、前年同月と比べ5万7635人、それぞれ増えた。