診療報酬は病院や診療所、薬局などの医療機関に対して支払われる医療費のことです。
▽診療や医療サービスの対価で医療従事者の人件費などに充てられる「本体」と、
▽医薬品や医療機器の公定価格を定める「薬価」の2つで構成されていて、
昨年度、令和4年度は総額およそ46兆円が支払われました。
支払いの原資はおおむね、保険料が5割、税収などの公費が4割、患者の自己負担が1割程度となっていて、高齢化に伴って医療費の増加が続く中、仮に診療報酬が1%のプラス改定になると4600億円以上の費用が必要となります。
診療報酬全体の水準や個別の診療行為などの価格は2年に1度の改定で国が決めていますが、医療の質の向上や医療従事者の処遇改善を求める声がある一方、現役世代の負担増や財政への配慮を求める声もあり、年内に決まる「改定率」は国の財政にも大きな影響を与えることから、毎回、予算編成の焦点の1つとなります。
前回・2年前の改定では「本体」を0.43%引き上げた一方、「薬価」を1.37%引き下げて、全体では0.94%のマイナスとなりました。
平成28年度以降は「薬価」の引き下げを原資に「本体」を引き上げて、全体の改定率をマイナスにする傾向が続いています。
看護補助者などの医療従事者「コメディカル」の賃上げが重点課題
来年度の診療報酬改定では、人材を確保するため、看護補助者など、医療従事者の賃上げへの対応が重点課題とされています。
令和4年の厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、看護補助者や技師などの医療従事者「コメディカル」の賞与込みの給与の平均は月に32万7000円、看護補助者は25万5000円と、いずれもすべての産業の平均を下回っています。