昭和大学の現役医師  性的暴行で逮捕

催眠作用のある薬を飲み物に混ぜて女性をこん睡させ、自宅に連れ込んで性的な暴行をしたとして、警視庁は27日、東京の昭和大学病院の医師2人を逮捕しました。調べに対し「合意のうえで行為に及んだが、薬は飲ませていない」などと供述しているということです。

逮捕されたのは、いずれも東京 品川区の昭和大学病院の内科医、金古政隆容疑者(28)と、研修医、大林久晃容疑者(26)です。

警視庁によりますと、2人は先月18日の深夜から翌日の未明にかけて、東京のJR目黒駅前のカラオケ店で催眠作用のある薬を飲み物に混ぜて20代の女性をこん睡させ、品川区内の金古容疑者の自宅に連れ込んで性的な暴行をした疑いが持たれています。

女性は記憶がなくなり、「気が付いたときにはわいせつな行為をされていた」と、その日のうちに訴え出たため、警視庁が捜査していました。

警視庁の調べに対し、金古容疑者は「合意のうえで行為に及んだ。薬は飲ませていない」と、大林容疑者は「乱暴したのは間違いないが、薬は飲ませていない」と供述しているということです。

飲み物に混入された薬は市販薬ではないということで、警視庁は薬の入手経路などを詳しく調べています。

事件当日の状況は
金古容疑者と大林容疑者は先輩と後輩の関係で、去年8月に今回被害に遭った女性と知り合ったということです。

事件当日は午後7時半ごろから金古容疑者と大林容疑者、それに20代の女性2人の合わせて4人でJR目黒駅近くの居酒屋で飲んでいたということです。

その後、午後10時ごろから近くのカラオケ店に移動し、そこで飲み物に催眠作用のある薬を混入したとみられています。女性はむりやり飲まされたと話しているということです。

午後11時ごろにはカラオケ店を出て女性2人はタクシーに乗せられ、品川区内の金古容疑者の自宅に連れ込まれたということです。

金古容疑者が住むマンションの防犯カメラには、女性2人が1人で歩くことができない姿で写っていて、金子容疑者と大林容疑者は、こん睡した女性のうち1人に対して性的な暴行をしたとみられています。

女性2人は意識を取り戻したあと逃げ出し、近くの警察署に駆け込んで被害を訴え出たということです。

警視庁は被害に遭った女性とともに、一緒にいたもう1人の女性からも、当時の状況について話を聞いて調べています。
医師が薬を悪用した事件 過去にも
治療のために薬を処方すべき医師が女性への性的な暴行のために薬を悪用した事件は過去にも相次いでいます。

3年前の平成28年、静岡県焼津市の病院の研修医が飲食店で20代の女性に精神安定剤を混ぜた酒を飲ませて意識をもうろうとさせ、性的な暴行をしたとして逮捕されました。

研修医はその後起訴され、裁判所は「薬とアルコールの作用で判断力を失わせ乱暴したのは、被害者の人格や尊厳を踏みにじるもので刑事責任は重い」と指摘し、懲役7年の判決を言い渡しました。

また17年前、滋賀県長浜市にある病院の麻酔科の医師が入院中の女性患者に睡眠効果のある薬を注射して抵抗できないようにしたうえで、わいせつな行為をした罪に問われました。

裁判所は「医師という立場を利用し、病院に保管してある薬品を注射するなど、計画性が高く悪質だ」として、執行猶予のついた有罪判決を言い渡しました。
昭和大学「事実であれば誠に遺憾」
昭和大学は「事実であれば誠に遺憾ですが、詳細について把握しておりません。警察で捜査中のことですので、コメントは控えさせていただきます」としています。