Category Archives: 医療ニュース

介護業界 群がるファンド

有料老人ホームをめぐるM&Aが活発になっています。なかには買収額が100億円とつり上がるものもあります。

介護の需要は増える一方ですが、国や自治体は有料老人ホームなどの新設の認可数を抑えています。介護保険を使える業者であることを示す「事業者番号」の希少価値が高まり、ホームを買って事業者番号を獲得するM&Aが活発になっています。海外の投資家も「青田買い」している状況です。

しかし、介護が「成長産業」として注目され、施設の価格があがっても、介護の現場で働く人の給料が上がっているわけではありません。現場は慢性的な人手不足でサービスの低下も。ある看護師は「まるで消耗品」と嘆きます。

糖尿病性腎症、仕組み解明…早期診断に道

糖尿病で腎臓の機能が低下する糖尿病性腎症の新しい発症メカニズムを、慶応大学の伊藤裕教授(腎臓内分泌代謝内科)らのグループが解明したと発表した。

病気の早期診断や発症予防に役立つと期待される。医学誌「ネイチャーメディシン」に21日、発表した。

糖尿病の患者数は推計1000万人で、人工透析の最大の原因になっている。腎臓で血液を濾過(ろか)する糸球体という部分が傷つき、尿に微量のたんぱく質が漏れ出すのが、糖尿病性腎症の第1段階と考えられていた。

研究グループはマウスの実験で、糖尿病になると糸球体が傷つく前に、尿を作る尿細管から糸球体に放出される「ニコチン酸モノヌクレオチド(NMN)」という物質の量が減ることを発見した。サーチュインという遺伝子の働きが、糖尿病で悪くなることが原因で、遺伝子改変で、糖尿病のマウスのサーチュインの働きを高めると、糖尿病性腎症の発症を防げた。この遺伝子は、運動やカロリー制限で活性化し、活性化すると寿命延長効果があるとされている。

<博多・病院火災>10人の死亡を確認 4人が意識不明

11日午前2時20分ごろ、福岡市博多区住吉5の病院「安部整形外科」から出火、地下1階、地上4階建ての同病院665平方メートルを全焼した。福岡市消防局などによると、病院内には入院患者ら17人がおり、うち10人の死亡を確認、さらに4人が意識不明で、1人が負傷した。他の2人は自力で逃げた。

同市消防局や福岡県警博多署によると、17人の内訳は入院患者12人、病院関係者5人。死亡が確認されたのは入院患者8人、病院関係者2人。

同病院は1、2階が病院施設、3階は病院関係者の自宅、4階は看護師寮となっている。1階が火元とみられ、同日午前4時56分に鎮火した。

近所の住民によると、病院の1階から炎が噴き出していたという。別の住民は「『助けて』と叫びながら2階から男性が飛び降りた」と青ざめた表情で語った。

在宅療養者に手帳 埼玉・秩父市、医療と介護の連携強化

埼玉県秩父市や秩父郡市医師会などは、医師や介護関係者が、在宅療養している人の治療経過や生活情報を共有できる「私の療養手帳」をつくった。

医療と介護の連携を強化する狙いで、本人や家族も手帳を提示すれば説明の負担などが軽減できるという。県内初の試みで15日から無料配布する。

手帳には必要な介護の度合い、可能な生活動作、食事のバランスなどのほか、医師が病名や治療経過を記入する欄がある。歯科医師が虫歯など口内の状態を書く部分もあり、ページを増減できるファイル式で、情報が分かりやすく整理できる。普段は本人や家族が管理し、診療や介護を受ける際に提示する「共有カルテ」のようなものだという。

同様の手帳は、京都府長岡京市などで導入されており、約7割が在宅療養サービスに有効と受け止めているという。秩父地域は65歳以上の人口が約3万人で高齢化率は28%で、今後の在宅医療や介護は課題となっている。秩父市地域医療対策課は「医師や福祉関係者の連携を促進し、医療や介護サービスの向上につなげたい」としている。

手帳配布の対象者は秩父地域在住で、医療や介護、福祉など複数のサービスや制度の利用者。問い合わせは秩父郡市医師会(0494・22・0570)へ。

飛び込み出産、最多307件…大阪府で昨年

大阪府は9日、府内で昨年、妊婦健診をほとんど受けずに出産する「未受診妊婦」が307人に上り、前年比1・2倍に増加したと発表した。2009年に調査を始めて以来、最多。

貧困や望まない妊娠などが背景にあることが多いため、児童虐待につながる恐れが指摘されており、府は受診を呼びかけるとともに今年度、未受診妊婦の支援を強化する。

未受診妊婦は「飛び込み出産」などとして問題になったため、大阪産婦人科医会が毎年、調査を実施。分娩(ぶんべん)を扱う府内の約150施設を対象に、受診回数が3回以下か、最後の受診から3か月以上で出産したケースを調べた。

09、10年はともに150人前後だったが11年に254人に急増した。今回は300人を突破、府内の年間分娩数は約7万5000件で、妊婦250人に1人の割合に当たる。年齢は13~46歳と幅広く、未成年は19%。ほとんどが無職か非正規雇用で、住所不明も161人と半数を超え、生活環境の不安定さが浮き彫りになった。

未受診の理由には、経済的問題や望まない妊娠、未婚などが挙げられ、厚生労働省の専門委員会が指摘する、児童虐待の背景と重なる部分が多いことも確認。調査を担当した光田信明・府立母子保健総合医療センター産科主任部長は「増加理由はわからないが、社会問題として考えなければいけない。育児ができる環境にないために虐待につながるリスクは高く、妊娠期からの支援が重要」と話す。

こうした問題を受け、府は今年度、虐待予防として対策を強化。未受診妊婦の相談に乗れるよう、助産師向けの研修を行ったり、同医会と連携し、公的支援サービスなどを記したガイドブックを作成したりする。府健康づくり課は「妊婦を孤立させない仕組みを作りたい」としている。

助産師だけの出産、医師立会いと安全性の差なし

通常の経過をたどる一般のお産は、助産師だけで介助する院内助産で実施しても、医師が立ち会う出産と比べて安全性に差がないという調査結果を、神戸大の斎藤いずみ教授らがまとめた。

院内助産は産科医不足を補うものとして全国で普及しつつあり、同大学によると、複数の施設の調査で安全性を確認したのは初めてという。5日、さいたま市で開かれる日本母性衛生学会で発表する。

斎藤教授らは2011~12年に、院内助産のある近畿地方の3病院での出産を調査。合併症がなく、高齢でないなどリスクの低い妊婦のうち、院内助産355人、医師が立ち会う一般産婦人科病棟380人の記録を分析した。

出産時の多量出血、お産の進み具合、新生児の健康状態と入院の有無などの違いを院内助産と一般病棟で比較したところ、差がないことがわかった。院内助産では16人、一般病棟では18人がお産の進行がうまく行かず、途中で帝王切開に切り替えたが、新生児の状態に差はなかった。

リスクの低い妊婦に対して助産師が妊婦健診の一部を行う助産師外来も調査。助産師外来を利用した場合と、産科医が健診を全て行った場合で妊娠の経過に違いはなかった。斎藤教授は「緊急時に医師と連携して対応できる態勢が整っていれば、院内助産や助産師外来は安全に行えることを示せたと思う」と話している。 院内助産 医師不足対策として、2008年に厚生労働省が打ち出した「医療確保ビジョン」に、助産師外来と共に普及が盛り込まれた。同省によると11年現在で院内助産は160施設、助産師外来は894施設で実施されている。

肺移植の3歳児退院=「中葉」で世界初-岡山大病院

岡山大病院(岡山市)で7月、国内最年少の肺移植の手術を受けた関西地方在住の男児(3)が26日、退院した。中葉と呼ばれる肺の部位を用いた生体移植では、世界初の成功例。肺の一部を提供した30代の母親は、退院前に取材に応じ「感謝の気持ちでいっぱい。普通の子と同じように遊べるようになればうれしい」と語った。
男児は骨髄移植の拒絶反応で肺の機能が低下。肺移植では通常、下葉を用いるが、男児の体格には大きすぎるため、より小さい中葉を用いた。
母親は「一緒にお好み焼きやたこ焼きを作りたい。遊園地とか、公園とか、今まで行ったことがない所へも連れて行きたい」と、退院後の生活が待ち切れない様子で話した。
執刀した大藤剛宏医師によると、男児は歩いて病院内を回り退院のあいさつをした後、両親らに付き添われて帰宅したという。大藤医師は「未知の手術だったが、今まで助けることができなかった小さな子どもたちに、希望の光を当てることができた」と語った。

 

 

田辺三菱に改善命令=製剤に未承認添加物-厚労省

厚生労働省は30日、田辺三菱製薬が製造販売する遺伝子組み換え人血清アルブミン製剤「メドウェイ注」に、承認されていない添加物が含まれていたとして、薬事法に基づく改善命令を出した。製造した子会社バイファは改善命令と業務停止30日とした。
メドウェイ注はやけどの治療などの目的で医師が注射して接種する製剤で、2009年3月以降流通しておらず、健康被害は発生していない。承認書に書かれていない界面活性剤が製造工程で添加されていたという。(

診療放射線技師塚本正人に実刑判決

医師を装い末期がんの患者を診療して薬代をだまし取ったとして、医師法違反と詐欺の罪に問われた東京都八王子市、診療放射線技師塚本正人被告(47)の判決で、横浜地裁(前沢久美子裁判官)は20日、懲役2年6月(求刑懲役3年)の実刑を言い渡した。

      前沢裁判官は、被害者をだまし続けた行為を「被告をがん治療の権威と信じ込み、わずかな望みを託した被害者の怒りや憤りは計り知れない」と批判。「憧れや見えから家族にも医師と偽って長年生活した経緯や、借金を抱えて金が欲しかったという動機は、自己中心的で酌量の余地はない」と非難した。

 判決によると、被告は昨年9月10日から今年1月26日ごろにかけて、がんを患う男性=当時(46)=に対し、15回にわたって視診や問診などを行い、市販の栄養補助食品をがん治療薬と偽って販売。薬代として計約270万円をだまし取った。

東海村の放射性物質漏出事故で施設長を戒告

茨城県東海村の加速器実験施設「J―PARC」で放射性物質が漏れた事故をめぐり、日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構は26日、同施設の池田裕二郎センター長を戒告とし、ほかに職員6人を訓告や厳重注意の処分とした。

事故は今年5月に発生し、機械の誤作動や対応のまずさによって、施設内にいた研究者ら34人が被曝し、管理区域外に放射性物質が漏出した。