産科医、基幹病院に集約計画…出産24時間体制を確保

 日本産科婦人科学会は20日、深刻化する産科医不足への対応策をまとめた行動計画を公表した。地域の基幹病院に産科医を集めて、医師一人ひとりの負担を減らすとともに、24時間安心して出産できる場を確保することが柱だ。

 過酷な勤務などが敬遠され、産科医は30年前に比べて、2割減少。新たに産科医になる医師は2010年度の491人をピークに4年連続で減り、昨年度は368人だった。都道府県間の格差も広がり、人口10万人あたりの産科医数は東京と沖縄の11・1人に対して、茨城は4・8人で2倍以上の差がある。

 行動計画では、現在のお産の体制を続けるには、毎年500人の新たな産科医が必要だと指摘。

 救急にも対応でき、24時間安心して出産できる場を維持するため、産科開業医とも連携しながら、都道府県の中核でリスクの高い出産や高度な新生児医療に対応する「総合周産期母子医療センター」に20人以上、地域の中核で比較的高度な産科医療に対応する「地域周産期母子医療センター」に10人以上の常勤の産科医を集めることを目標に掲げた。集約化で、当直などの産科医一人ひとりの負担を軽減して、産科医の4割を占める女性医師が、子育てや妊娠中にも無理なく働けるようにする。

 また、地域で幅広く診療する総合診療医(家庭医)との連携や、高い能力を持つ助産師の育成も計画に盛り込んだ。国や自治体、大学と情報共有して、都道府県が5年ごとに作る医療計画などに対策を反映させる。

 同学会は産科医を中心とした集まりで、今年3月末の会員数は約1万6000人。