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平成26年 診療報酬改定③

次の改定では、回復期リハビリテーション病棟についても、患者の早期の機能回復、早期退院を一層推進する観点での評価が行われます。
回復期リハビリテーション病棟入院料 1(1日につき1971点)を算定する病棟において、リハビリテーション医療に関する3年以上の経験とリハビリテーション医療に係る研修を修了した専従の常勤医師1名以上、さらに退院調整に関する3年以上の経験を有する専従の常勤社会福祉士1名以上が配置されている場合、「体制強化加算 200点(1日につき)」が算定できるようになります。
休日リハビリテーション提供体制加算については、休日を含め週7日間リハビリテーションを提供できる体制を有していることが回復期リハビリテーション病棟入院料1の算定要件として包括して評価されます。
回復期リハビリテーション病棟入院料 1における重症度・看護必要度の項目等については、「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度A項目の得点が1点以上の患者の割合が1割以上であること」と見直されます。
また、患者の自宅等を訪問し、退院後の住環境等を評価した上で、リハビリテーション総合実施計画を作成した場合、リハビリテーション総合計画評価料に「入院時訪問指導加算 150点(入院中1回)」が算定できます。
算定要件は次の通りです。
① 入院前7日以内又は入院後7日以内の訪問に限る。
② 回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する患者に対して、医師、看護師、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の少なくとも1名以上が、必要に応じて社会福祉士等と協力して、退院後生活する自宅等を訪問し、退院後生活する住環境等の情報収集及び評価を行った上で、リハビリテーション総合実施計画を作成した場合に算定する。

平成26年 診療報酬改定②

次の改定での、外来医療に関する最大の目玉は「地域包括診療料」です。
主治医機能を持った中小病院及び診療所の医師が、複数の慢性疾患を有する患者に対し、患者の同意を得た上で、再診時に継続的かつ全人的な医療を行うことの包括的な評価が「地域包括診療料 1,500点(月1回)」として次のように新設されます。
[包括範囲] 下記以外は包括とする。なお、当該点数の算定は患者の状態に応じて月ごとに決定することとし、算定しなかった月については包括されない。
① (再診料の)時間外加算、休日加算、深夜加算及び小児科特例加算
② 地域連携小児夜間・休日診療料、診療情報提供料(Ⅱ)
③ 在宅医療に係る点数(訪問診療料を除く)
④ 薬剤料(処方料、処方せん料を除く。)
⑤ 患者の病状の急性増悪時に実施した検査、画像診断及び処置に係る費用のうち、所定点数が550点以上のもの
[算定要件] ① 対象患者は、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、認知症の4疾病のうち2つ以上(疑いは除く。)を有する患者とする。なお、当該医療機関で診療を行う対象疾病(上記4疾病のうち2つ)と重複しない対象疾病(上記4疾病のうち2つ)について他医療機関で診療を行う場合に限り、当該他医療機関でも当該診療料を算定可能とする。
② 対象医療機関は、診療所および許可病床が200床未満の病院とする。
③ 担当医を決めること。また、当該医師は、関係団体主催の研修を修了していること。(当該取り扱いについては、平成27年4月1日から施行する。)
④ 以下の指導、服薬管理等を行っていること。
ア) 患者の同意を得て、計画的な医学管理の下に療養上必要な指導及び診療を行うこと。
イ) 他の医療機関と連携の上、患者がかかっている医療機関をすべて把握するとともに、処方されている医薬品をすべて管理し、カルテに記載すること。
ウ) 病院において、患者の同意が得られた場合は、下記のすべてを満たす薬局に対して院外処方を行うことを可能とする。
a. 24時間開局している薬局であること。なお、24時間開局している薬局のリストを患者に説明した上で患者が選定した薬局であること。
b. 当該患者がかかっている医療機関をすべて把握した上で、薬剤服用歴を一元的かつ継続的に管理し、投薬期間中の服薬状況等を確認及び適切な指導を行い、当該患者の服薬に関する情報を医療機関に提供している薬局であること。
エ) 病院において院外処方を行う場合は、下記の通りとする。
a. 当該薬局に患者がかかっている医療機関のリストを渡すこと。
b. 患者は受診時に薬局発行のお薬手帳又は当該医療機関発行のお薬手帳を持参すること。その際、医師はお薬手帳のコピーをカルテに貼付する等を行うこと。
オ) 診療所においては、当該患者について原則として院内処方を行うが、カの場合に限り院外処方は可能とする。
カ) 診療所において院外処方を行う場合は、下記の通りとする。
a. 24時間対応をしている薬局と連携していること。
b. 原則として院外処方を行う場合は当該薬局を対象とするが、患者の同意がある場合に限り、その他の薬局での処方も可能とする。この場合、夜間・休日等の時間外に対応できる薬局のリストを患者に説明し、文書で渡すこと。
c. 当該薬局に患者がかかっている医療機関のリストを渡すこと。
d. 患者は受診時に薬局発行のお薬手帳又は当該医療機関発行のお薬手帳を持参すること。その際、医師はお薬手帳のコピーをカルテに貼付する等を行うこと。
キ) 当該患者について、当該医療機関で検査(院外に委託した場合を含む。)を行うこととし、その旨を院内に掲示すること。
ク) 当該点数を算定している場合は、7剤投与の減算規定の対象外とする。
⑤ 以下の健康管理等を行っていること。
ア) 健康診断・検診の受診勧奨を行いその結果等をカルテに記載するとともに、患者に渡し、評価結果をもとに患者の健康状態を管理すること。
イ) 健康相談を行っている旨を院内掲示すること。
ウ) 敷地内禁煙であること。
⑥ 介護保険に係る相談を行っている旨を院内掲示し、要介護認定に係る主治医意見書を作成しているとともに、下記のいずれか一つを満たすこと。
ア) 居宅療養管理指導又は短期入所療養介護等を提供していること
イ) 地域ケア会議に年1回以上出席していること
ウ) ケアマネージャーを常勤配置し、居宅介護支援事業所の指定を受けていること
エ) 介護保険の生活期リハを提供していること
オ) 当該医療機関において、同一敷地内に介護サービス事業所を併設していること
カ) 介護認定審査会に参加した経験があること
キ) 所定の研修を受講していること
ク) 医師がケアマネージャーの資格を有していること
ケ) 病院の場合は、総合評価加算の届出を行っていること、又は介護支援連携指導料を算定していること
⑦ 在宅医療の提供および24時間の対応について、在宅医療を行うことを院内掲示し、夜間の連絡先も含めて当該患者に対して説明と同意を求めるとともに、下記のうちすべてを満たすこと
・診療所の場合は
ア) 時間外対応加算1を算定していること
イ) 常勤医師が3人以上在籍していること
ウ) 在宅療養支援診療所であること
・病院の場合は、
ア) 2次救急指定病院又は救急告示病院であること
イ) 地域包括ケア入院料(新規)又は地域包括ケア入院医療管理料(新規)を算定していること
ウ) 在宅療養支援病院であること
⑧ 地域包括診療料と地域包括診療加算はどちらか一方に限り届出することができる
⑨ 初診時には算定できない

平成26年 診療報酬改定①

次の改定では「機能強化型訪問看護ステーション」が新設されます。
看護職員数、24時間対応、ターミナルケア療養費等算定数、重症者の受け入れ数、居宅介護支援事業所の設置等の要件をすべて満たしている場合、機能強化型訪問看護管理療養費として次の診療報酬が算定できます。
機能強化型訪問看護管理療養費1 12,300円(月の初日の訪問の場合)
機能強化型訪問看護管理療養費2 9,300円(月の初日の訪問の場合)
[算定要件] 機能強化型訪問看護管理療養費1
① 常勤看護職員7人以上(サテライトに配置している看護職員も含む)
② 24時間対応体制加算の届出を行っていること。
③ 訪問看護ターミナルケア療養費又はターミナルケア加算の算定数が年に合計20回以上。
④ 特掲診療料の施設基準等の別表第7に該当する利用者が月に10人以上。
⑤ 指定訪問看護事業所と居宅介護支援事業所が同一敷地内に設置され、かつ、当該訪問看護事業所の介護サービス計画が必要な利用者のうち、当該居宅介護支援事業所により介護サービス計画を作成されている者が一定程度以上であること。
⑥ 地域住民等に対する情報提供や相談、人材育成のための研修を実施していることが望ましい。
機能強化型訪問看護管理療養費2
① 常勤看護職員5人以上(サテライトに配置している看護職員も含む)
② 24時間対応体制加算の届出を行っていること。
③ 訪問看護ターミナルケア療養費又はターミナルケア加算の算定数が年に合計15回以上。
④ 特掲診療料の施設基準等の別表第7に該当する利用者が月に7人以上。
⑤ 指定訪問看護事業所と居宅介護支援事業所が同一敷地内に設置され、かつ、当該訪問看護事業所の介護サービス計画が必要な利用者のうち、当該居宅介護支援事業所により介護サービス計画を作成されている者が一定程度以上であること。
⑥ 地域住民等に対する情報提供や相談、人材育成のための研修を実施していることが望ましい。
なお、機能強化型、従来型を問わず、訪問看護事業所について、毎年7月1日現在で届出書の記載事項について報告を行うことが義務付けられます。

多剤耐性菌の監視強化へ…厚労省、院内感染受け

厚生労働省は、複数の抗生物質が効きにくい「多剤耐性菌」の監視体制を強化する方針を固めた。

多剤耐性アシネトバクターなど2種類の感染者について、全ての医療機関に保健所を通じて国に報告するよう求める。感染予防や治療法選択に役立つと期待される。

報告を求めるのは、多剤耐性アシネトバクターと、抗生物質の切り札とされるカルバペネムを分解する腸内細菌の感染者。2010年に多剤耐性菌の院内感染が問題になったことを受け、アシネトバクターは約500か所の指定医療機関から報告を受けているが、それだけでは把握が不十分だった。カルバペネムの分解細菌については報告制度はないが、欧米での感染が拡大している。

医療法人による海外での病院運営容認へ…厚労省 日本式医療の普及を狙う

厚生労働省は6日、医療法人による海外での病院運営を認める方針を決めた。

医療法人に海外事業の報告を義務づけるなどの規定を設け、今年度内にも制度を導入したい考えだ。政府が成長戦略の柱の一つとして掲げる「医療の国際展開」の一環で、各医療法人は現地で自前の資産や技術を使いやすくなり、海外進出が加速すると期待される。

医療法人の海外展開は、現地の法人に出資をしたうえで、病院運営に関わる枠組みが想定される。そこで厚労省は、出資額を医療法人の剰余金の範囲内にするなどの制限を設け、出資先の現地法人が仮に破綻して損失が生じても、国内の病院運営への悪影響を最小限に抑えられるようにする。

現地での医療の質を確保するため、厚労省は毎年、医療法人から事業内容の報告書の提出を求め、問題が起きた場合には改善を求める方針だ。 この背景には、日本式医療の普及を狙っていて、アジアや中東を中心とする16か国で、がんセンター設立や医師派遣、遠隔画像診断のシステム導入など、29の事業を2020年までに始動させる方針だ。今後、各国で現地調査を進め、官民一体で日本の医療の普及に取り組む。

政府は、14年度予算案に10億円の事業調査費を計上している。

医療拠点作りは、政府が成長戦略の柱の一つとして掲げる「医療の国際展開」の一環だ。今年6月に決定した政府の日本再興戦略では、拠点を10か所程度設け、日本企業の海外市場を20年時に今の3倍の1兆5000億円に広げる目標を掲げた。現状では目標を大幅に上回る見通しで、拠点を設ける国もさらに増える可能性がある。

麻田総合病院が不正受給 診療報酬2億円超…香川

保険指定取り消しへ

香川県丸亀市津森町の総合病院「麻田総合病院」(300床)が看護師数を水増しするなどし、2008年4月~11年10月に診療報酬を不正受給したと、厚生労働省四国厚生支局に指摘されたことがわかった。

同支局は20日にも、運営する社会医療法人財団「エム・アイ・ユー」(丸亀市)に保険医療機関の指定取り消し処分を下す方針。期間は来年4月から5年間。不正受給額は2億円余りに上るとみられるという。

病院側によると、入院患者数に対する看護師数が基準を満たしているとして診療報酬を請求していたが、実際には、病棟の看護師が外来対応に回るなどし、基準を満たしていない場合があったという。

病院事務部長は取材に対し「必要な看護師の数は確保していたが、配置などにミスがあり、結果的に水増ししたと指摘されても仕方ない状態になっていた。(指摘を受けた)不正受給額は、直接は聞いていない」と話した。

指摘を受けたのは11年秋で、同11月以降は配置を見直し、基準を満たしているという。

現在、入院患者は約240人。事務部長は「患者や職員に影響が出ないよう、来年3月までに、他の医療機関に経営譲渡するなどの方策を検討し、保険医療が継続できるようにしたい」としている。

同病院は1957年開設。15の診療科があり、県の救急病院に指定されている。

民事再生法 申請  医療法人社団夢前会

兵庫県で金田病院を運営している医療法人社団夢前会(金田好弘理事長)が、神戸地裁姫路支部に民事再生法の適用を申請し、保全命令を受けていたことが分かった。決定は11月26日付。診療は継続し、これまで通りの体制で再建を目指す。東京商工リサーチによると、負債総額は5億486万円。
東京商工リサーチや代理人の弁護士事務所などによると、金田病院は1951年の開業で、96年に法人改組。2002年5月からは、姫路市内に介護保険施設「歩歩」とデイサービスセンター「歩歩大村」を開設したほか、同市の北に隣接する市川町で介護保険施設「歩歩市川」の運営も始めた。
だが、常勤医の雇用が安定せず、これに患者離れも加わった結果、資金繰りが悪化した。10年に当時の院長が亡くなり、事実上、院長不在の状態となっていたことも影響したが、先月中旬に金田理事長が新たに就任。同病院の院長も兼務したため、今回の申し立てに至ったという。

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少年の夢尊重し移植へ、15歳未満脳死判定4例目

日本臓器移植ネットワークは6日、国立病院機構長崎医療センター(長崎県大村市)に入院していた10歳以上15歳未満の少年が、心肺停止で脳に十分な酸素が供給されない状態になり、改正臓器移植法に基づき、脳死と判定されたと発表した。15歳未満の脳死判定は4例目。

7日早朝、臓器の摘出手術が行われ、心臓が岡山大病院で10代女性、肺が京都大病院で60代男性、肝臓が名古屋大病院で40代男性、膵臓(すいぞう)と腎臓が大阪大病院で40代男性、もう一方の腎臓が長崎大病院で40代男性に移植される予定だ。

同ネットワークによると、少年は事故により同センターに入院。先月29日に主治医から「回復の可能性が厳しい」と説明を受け、今月1日、家族が臓器提供を申し出た。少年が「看護師になって人を助けたい」という夢を持っていたため、家族が決断したという。

薬剤師着服、町長ら6人を減給処分

岩手県洋野町国民健康保険種市病院に勤めていた薬剤師の男性(52)が14年以上にわたって医薬品を東京の業者に転売し、代金約1億7000万円を着服していたとされる問題で、町は29日、病院を管理監督する水上信宏町長、日当博治副町長ら6人を減給処分にした。

12月2日からは薬剤師の募集を始め、再発防止に向けた体制作りに取り組む。

町議会臨時議会が29日開かれ、町は病院の管理監督責任者に対する処分として、特別職の職員給与を定めた条例について、町長、副町長を減給とする改正案を提出。議員17人が出席し、全会一致で可決された。処分は同日付。条例は12月1日に施行される。

これにより、水上町長は来年1月28日の任期満了日まで減給10分の3、日当副町長は2月15日の任期満了日まで減給10分の2の処分となる。給与は水上町長が月額68万4000円から同47万8800円に、日当副町長が同57万3000円から同45万8400円に減額される。

町は、病院の漆久保潔名誉院長と磯崎一太院長、事務長、元事務長の4人も、それぞれ減給10分の1(3か月)の処分とした。

臨時会では、条例改正について異論はなかったものの、「問題の全容解明前の処分が適切か」「病院内の事務はどういう改善をしたのか」などと、質問が出された。

町は病院の薬剤師を若干名募集するが、「(再発防止に向けて)2人は確保したい」としている。

訪問看護に機能強化型…24時間態勢、看取りも

厚生労働省は、地域の在宅医療・介護を充実させるため、2014年度から24時間態勢の「機能強化型訪問看護ステーション」(仮称)を新たに作る方針を固めた。訪問看護ステーションの半数程度が指定される見通しだ。厚労省は、来年2月に取りまとめる14年度診療報酬の改定の中で実現したい考えで、近く、厚労相の諮問機関・中央社会保険医療協議会で本格的な議論を始める。

訪問看護ステーションは、常駐の看護師や保健師、理学療法士らが医師の指示を受けて各家庭を回り、血圧測定、リハビリなどを行っている。

機能強化型は、ケアマネジャーを増やし、24時間態勢で終末期の看取(みと)りや、難病・重症患者の受け入れなどを行う。現ステーションで実施している例もあるが診療報酬が十分でないため、機能強化型では診療報酬を加算する。

看護師らが利用者の自宅に近い場所から訪問できるよう、複数の「サテライト(出張所)」を構えることもできる。機能強化型は、病院や診療所、介護施設との橋渡し役も期待されており、看護師らが利用者一人ひとりの状態を見ながら、ふさわしい医療・介護サービスを見極めて、重症化するのを防ぐ。